放課後のブランコ

家の前について、加瀬君が大きく深呼吸をした。


緊張してる…。


「入らなくていいよ、やっぱり帰って」


そう言ってみたけど、加瀬君はもう中に入る気満々。


こんな派手な男の子を連れてったらばーちゃん失神するよ。


しかも加瀬君にはいい印象ないみたいだし。


私の心配をよそに、加瀬君がインターホンを押した。


「ちょっとおっ!!」


なに勝手に押してんのっ?!


「大丈夫だって!じいちゃんとばぁちゃんにはちゃんと挨拶してやるからっ」


挨拶するったって、


いきなりじゃ驚くよっ…!


でも、シーンとしてる家。


ばーちゃん、いないの…?


カバンから鍵を出して、玄関を開けた。


「いない・・・」


いつもばーちゃんが履いてる靴がない。


この時間は、いっつもばーちゃんいるのに。


「ばぁちゃんいねぇの?」


「うん…」


「じゃ…入れねーな」


え…?


あ、そう…


無理やり入るかと思った…。


う〜ん、


加瀬君のイメージがどんどん変わってく。


もっと強引な人かと思ってたんだけど。


「また明日にするよ」


「…うん」


「おっ、今頷いたよなっ!やった!明日も公園で待ってるから!」


しまった…!


思わず頷いちゃったよっ。


私の頭の中で、何が起こってるんだろ?!


今の頷きは私の意思じゃない!!


「こ、来なくていいよっ…」


「だーめ、もう約束したから!じゃあなー!」


あーー…。


行っちゃった……。