突然何を言うんだろう……とは思ったけど、


何となく“何か悩んでんのか…?”って遠回しに聞こえるのは気のせい?


無視して海を眺めた。


加瀬君の言う通り、私はその中の一人。


学校、進路、じーちゃん、ばーちゃん・・・。


お父さん、お母さん。


悩みは尽きない。


今一番悩んでるのは、


卒業後の一人暮らし。


違う…。


自分の事じゃなくて…


私があの家を出た後のじーちゃんとばーちゃんが心配だよ。


ばーちゃん、重たい荷物を一人で持てるかな…。


近所の人達は、じーちゃんの不機嫌を理解してくれるのかな。


やっぱり出て行きたくない。


「なぁなぁ、たぶんさ、きっと風花より深刻な悩みを抱えた奴らの方が絶対に多いよ」


は?


何の根拠を持って加瀬君はそんな事を言うんだろう。


私にとっては重大な悩みだよ。


加瀬君をジーッと見つめたら、フィッと視線をそらされた。


いつものお返し?


別にいいけどさ。


「俺に話してみろよ」


へ?


加瀬君は海を見つめたまま。


最初はカッコつけてるのかなと思ったけど、


意外にも緊張した面持ちで海を眺めていた。


本気で私の悩みを聞いてくれようとしてるのかな。


加瀬君のそんな表情、初めて見た。


それとも…得意の計算?


私がひっかかるのを待ってるの?