「もっとゆっくり考えるんだ…」


「考えた結果だよ」


もう、じーちゃん達に負担はかけたくない。


私の答えを聞いて、じーちゃんがため息をついた。


そして、また怖い顔をした。


「一つお前に言っとくが…。進学にせよ就職にせよ、高校を卒業したらこの家を出て行ってくれ」




え………?




「おじーさんっ!何を言うとねっ…」


ばーちゃんが慌ててじーちゃんの腕を叩いた。


「じーちゃん…何で…?」


どうして出て行かなくちゃいけないの…?


私は…ずっと二人といたい…。


私が二人を養うって、もう決めたんだから。


「いいから出て行け!それを頭に入れて進学か就職か考えろ」


何で…?


どうして…?


ここにいさせてほしいよ。


ここにいたいよ。


出てくなんて嫌だよ…。


「おじーさんの言う事なんか聞かんくていいからねっ。卒業してもここにおっていいでね」


ばーちゃんが優しくそう言ってくれたのに、じーちゃんは頑なに「ダメだ」と言い張った。


そして最後に、「学費の心配なんかいらんからな」と言って居間を出て行った。


泣きそうな私を、ばーちゃんが悲しそうな目で見てる。


「おじーさんはばぁちゃんが説得する…。風花は心配いらんよ」


またテーブルを拭きながら、ばーちゃんがそう言ってくれた。


「………うん」


タイミングが悪かったのかな…。


じーちゃんの数少ない機嫌のいい日に言うべきだった?


そしたら、


じーちゃんの答えは違ってた…?