「ばーちゃん!ただいまっ」


勢いよく玄関を開けて、台所にいるばーちゃんを見た。


「風花かい、おかえり」


ばーちゃんは私が帰ると、いつも手を止めて玄関まで来てくれる。


「もう真っ暗じゃないか…。もっと早く帰ってこれないのかい?女の子だから心配だよ」


顔をしかめて私を見ている。


「大丈夫!痴漢撃退法とか学校で習ってるから」


嘘だけど。


こう言えばばーちゃんが安心するから。


「本当かい?物騒な世の中だからかね?ご丁寧にそんな事まで教えてくれるなんてありがたいねぇ」


「うん」


靴を脱いで、ばーちゃんと一緒に台所に向かった。


「お腹すいたぁー!今日はご飯なに??」


「あんたの好きな豚汁だよ」


「やった、豚汁食べたかったんだっ!ばーちゃん、また作り方教えて!私も自分で作ってみたい」


「あんたにできるかねぇ…」


意地悪な顔で私を見るばーちゃん。


「できるよっ!!じーちゃんに食べさせてやりたいんだっ」


「そうかい…風花は優しい子だね…。おじいさん、きっと泣いて喜ぶわ」


泣いてって…あのじーちゃんが泣く訳ないし…笑


ばーちゃんもそう思ったのか、二人で顔を見合わせてクスクス笑った。