「うちのばーちゃんを知ってるの…?」


「あぁ。俺の家もこの近所だから」


近所…?


じゃ…、あの公園にいたのも本当に偶然だったんだ…。


「だいぶ前に風花がこの家に入ってくのを見て、ビックリした」


……え?


「何で?」


そう聞き返したら、加瀬君はニヤッと笑って「それはおいおい話すよ」と答えた。


「気になるから教えてっ」


「やだね、風花が俺のもんになったら教えてやるよっ!じゃあなっ」


はぁ?!


「ちょ…ちょっと待ってよっ…!!」


あんたの物なんかには絶対にならないんだからーっ!!


私を無視して加瀬君は鼻歌まじりで帰ってく。


その後ろ姿をジッと見つめていた。


変な奴。


「風花?帰ってるのかい?」


ガラガラッと玄関が開いて、ばーちゃんが顔を出した。


「なんだい、おっきな声出して…。誰かと一緒だったのかい?」


「あ、うん…。ばーちゃん、加瀬純一郎って知ってる?」


「はて…。加瀬…純一郎?あぁ、加瀬家の問題児かね?!」


問題児…??


「あそこの子とは付き合ったらいかんよ。えらい悪さをする子だで!小さい頃はかわいい子だったのにねぇ」


へ〜。


おばあちゃんも知ってるんだ…。


「その子がどうかしたのかい?」


「え?あ、ううんっ…何でもないよっ」


付き合う事はないけど、一緒に帰って来たなんて言ったら怒られそう。


家に入ったら、じーちゃんが晩ご飯を食べていた。


帰って来てたんだ。