それから15分くらいして、一台の車が公園の前に停まった。


運転席から降りて来たのは、すっごく若い女の人。


「要っ!」


まさか、あの人がお母さん…?


私と加瀬君の視線で、かなめ君もこっちに走って来る女の人に気付いた。


一瞬にしてかなめ君の顔が変わった。


やっぱり、あの人がお母さんなんだ。


抱き合う二人を見て、私もちょっとホッとした。


かなめ君が手話で私達の事を説明してくれて、お母さんが立ち上がった。


「本っ当にすみませんでした…!駅で友達に会って立ち話をしてたらいつの間にか要がいなくて…」


「いえ・・・私達は何も・・・」


してないもんね。


加瀬君を見たら、加瀬君はちょっと怒った顔で要君のお母さんを見ていた。


「子供から目を離すなよ。事故にでもあったら取り返しのつかねぇ事になるんだぞっ」


意外〜。


加瀬君が説教してるよ。


「はい、すみません…。本当に…ありがとうございました…」


シュンとしてしまったお母さんを見て、要君が加瀬君のお腹を叩いた。


「イッテッ…、何でお前が怒るんだよっ…俺はお前の為に言ってやったのにっ」


要君の攻撃は容赦ない。


お母さんが要君を止めて、もう一度謝って帰って行った。