「やっと俺に心を許してくれたんだな!長かったぜ〜」


「はぁー?そんなんじゃないから!」


また怒って加瀬君を睨んだ。


「ハハッ、やっぱそっちの方が風花らしいぜ…笑」


何だか複雑な気持ち。


怒ってるのが私らしいなんてさ。


確かに私は加瀬君の前じゃ怒ってばかりだけど。


「よぉーし!お前もブランコ乗るかっ!」


そう言って加瀬君がかなめ君をブランコに座らせた。


「風花!風花も隣のブランコ乗って!どっちが高くこげるか競争だっ!」


え?!


競争?!


加瀬君がかなめ君の背中を押して、かなめ君がケタケタ笑った。


こうしてるとかなめ君、普通の男の子なのにね。


耳、聞こえないんだね…。


私もかなめ君の隣のブランコに乗って、高く高くこいだ。


「へへーん、私の勝ち〜!!」


かなめ君にそう言ったら、加瀬君に言い返された。


「子供相手に本気になるなよなぁー」


別に本気なんか出してないもん。


かなめ君に笑ってほしいだけ。


きっともうかなめ君に会う事はない。


かなめ君と過ごす、最初で最後の時間。


どうか、かなめ君にとって楽しい時間になりますように。