見た事のない男の子。


ここらへんの子じゃない。


ただでさえ家も少ないし、近所の子だったらすぐに分かる。


「どっから来たの?」


「・・・・・」


私の問い掛けに、俯いたまま黙ってる男の子。


「ねぇ!聞いてるっ?」


話しの通じない子供は苦手。


でも、喋れないほど小さくないよね?


「俺もさっきから聞いてんのに何にも答えねーんだよ、このクソガキ〜」


加瀬君も困った顔をして男の子の顔を覗き込んだ。


「おいっ、何か喋ろ!」


加瀬君が男の子を小突いたら…、男の子がパッと顔を上げた。


怯えた顔をしてる…。


「喋ろって言ってんだろ!名前は?誰とどこから来たんだよ」


また男の子は俯いてしまった。


なんか…………


聞こえてないみたい………。


もしかして…


まさかだけど…


耳が聞こえないの?


そんな訳ないよね?


でも…。


ゆっくり男の子に近付いて、


男の子の目線と同じ高さになるようにしゃがんだ。