「……大分よくなったな」

「本当に?」

「あぁ」


彼に誉められたことが嬉しくなって、自然と笑顔が零れる。


「…ありがとう、これも山下のおかげだ」


そう言えば、照れ臭そうに頭を掻く遥。


「…でもさ、やるからには上を目指したい。まだ頼むな?」

「おぉ」


任せろ、というふうにひらひらと手を振る。


「…そういえば、明日は朝練あるのか?」

「明日は…、ねぇな」

「そうか」


(……ないんだ)


嬉しい気持ちが沸き起こる。

けど、頼んだのは自分だがやっぱり複雑だ。

嬉しいのだが、ドキドキしすぎて集中出来ないのも実は今までに多々ある。


(……ま、そういう場合はなんとか自分を押さえ込んで無理矢理切り替えるようにはしてるけど) 


だがそれでも、心臓は決して鳴りやまないのだ。

はぁと息を吐いた。