♂遥side♂


(……笑った方が可愛いじゃん)


そこまで思考が辿り着くと、…ん?と首を傾げる。

そして、自分が何を思っていたのか気付いた時、かぁと柄にもなく顔を赤くした。


(俺、今何考えた!?)


結構恥ずかしいこと考えていたとは露しらず、優希は不思議そうな顔をした後、そうだと声を上げる。


「…や、山下」

「んぁ?」


(…やべ、間抜けた声が出た)


「な、何だ?」


誤魔化そうと平気なふりをして、またはっとする。


(一体何を誤魔化すんだよ…)


意味わかんねぇ、と髪を掻き上げた。


「あ…えっと…」

「ん? あぁ…」


一瞬忘れかけていたが、そういえば何か言いたいみたいだ。

じっと彼女を視界に映していて気付いたが、こんなしどろもどろになる彼女を見るのは珍しい。

いつもは凛としていて、男の俺から見ても格好よかった。