「……そうか」
遥は薄々それが偽りの答えだと感付いていたが、そこにはそれ以上触れようとはしなかった。
「……女なんだから、無理はすんな」
静かに、でも何処か響きを帯びているそれは、優希の胸を高鳴らせるには十分だった。
(女なんだから…?)
そんなこと言われたのは、初めてだ。
とくり、とくり、相手に聞こえてしまうのではいか、という程に鐘が鳴り続ける。
(……もう、隠すのは無理そうだ)
証拠は、この高鳴りが証明している。
まさか、こんな日が来るとは夢にも思わなかった。
(……そういえば)
いつかの海先輩の言葉を思い出す。
『恋はね、突然降りてくるものなの』
あの時は恋というものがよく分からなかった。
ドキドキ…って何?
そんな状態だったが、今なら分かる。
優希は何かが吹っ切れたように、笑みを浮かべた。
♀優希side♀


