コンプレックスなふたり☆



「……でも、優希先輩にも言いません」


ピクリ、優希の眉が釣り上がる。

彼は彼で、顔をしかめた。


「何で言わないの? そうじゃないと貴方はまた…」


多少言い方がキツくなってしまったが、仕方がない。

後輩を思ってのことだ。

少女は負けじと言い返す。


「…確かに、またあの先輩達が来ると思うと怖いです…っ!」

「だったら…」

「でもっ!」


彼女は悲痛の叫びというような声を張り上げ、優希の言葉をを遮った。


「でも…、優希先輩が叩かれているところを見てる方が、よっぽど怖かったんです!」

「……」

「先輩が私の代わりに叩かれるくらいなら、私が叩かれる方がマシです!」


そう言った女の子は、大きく震えていた。