コンプレックスなふたり☆



「…また何かあったら、あたしに言いなよ」

「え、でも…」


ふたつ結びをしおらせて、複雑そうな顔をする。

それを気に留めずに、そのまま言葉を続けた。


「…それが嫌なら、先生にちゃんと言うか」

「…っ!」


女の子は俯いた。

その表情は見えないが、多分困ったような、迷いを混ぜたような表情をしているのだろう。

遥はといえば、驚きに満ちた顔をしている。

暫くの間、沈黙がこの場を支配した。

彼女を横目で見やっていると、ゆっくりと顔を上げる。

その表情は何処か決意にあふれていた。


「私は…、先生には言いません」


はっきりとした口調からは、もう迷いや困惑といったものは一切伝わってこない。