「だから、こいつのことを考えるなら言わない方がいい」
少女は、はいと深く頷く。
「……」
その様子を静かに見つめていると、彼女は視線に気付いたのかニコッと可愛らしい笑顔を優希に向けた。
その笑みには、安心して下さいという意味が込められている気がして。
彼女は困惑したように、曖昧に微笑んだ。
(…あたしのことを考えてくれるのはこっちとしても有り難い)
だが、それではまた彼女は奴等に襲われるかもしれない。
教師にこのことを知らさせば、さらに生徒達の行動に目を光らせるだろう。
そのため、奴等も身勝手な真似が出来なくなる。
ふぅと、今日何度目か分からないため息をついた。


