「お前、馬鹿共を殴ったか?」
じっと見つめられ、何故かそれが凄く恥ずかしくて、ぷいっと外方を向く。
「……竹刀で叩いただけ」
小声で言ったが、彼は聞き取れたみたいだ。
「それを殴ったっていうんだよ」
試合じゃあるまいし普通は叩かないだろ、と言われ、言っていることは合っているのだが、やっぱりちょっとムッと眉を寄せる。
遥はこほん、と咳払いして女の子に向き直った。
「つまり、俺はともかくとしても、教師にこのことをチクれば確実に工藤も悪いと言われる」
「そんな…!」
悲しみをあらわにし叫ぶ少女に、彼はまだ話は終わってないとばかりに続ける。
「たとえ、こいつが何もしていないと口にしたとしても、あの馬鹿共がチクるな」
彼女はとうとう俯いてしまった。


