コンプレックスなふたり☆



「お前、馬鹿共を殴ったか?」


じっと見つめられ、何故かそれが凄く恥ずかしくて、ぷいっと外方を向く。


「……竹刀で叩いただけ」


小声で言ったが、彼は聞き取れたみたいだ。


「それを殴ったっていうんだよ」


試合じゃあるまいし普通は叩かないだろ、と言われ、言っていることは合っているのだが、やっぱりちょっとムッと眉を寄せる。

遥はこほん、と咳払いして女の子に向き直った。


「つまり、俺はともかくとしても、教師にこのことをチクれば確実に工藤も悪いと言われる」

「そんな…!」


悲しみをあらわにし叫ぶ少女に、彼はまだ話は終わってないとばかりに続ける。


「たとえ、こいつが何もしていないと口にしたとしても、あの馬鹿共がチクるな」


彼女はとうとう俯いてしまった。