「んで、そこを工藤に助けられた」
ドキッとした。
名前を呼ばれて目線が合ったからなのか、はたまた別の意味があるのか。
(……違う、よね?)
胸を左手でぐっと押さえる。
優希の脳裏にある一文字が浮かび上がったが、首を振った。
(…気のせい、だ)
パッと吹っ切るように顔を上に向かす。
彼女がそんなことをしていることにも気付かずに、遥と少女は話を続ける。
「暫くして俺が今度はこいつを助けるため、奴等を殴った」
「はい」
こくり、と後輩ちゃんは首を縦に振った。
ところで、言葉をそこで止めて、再び目線が彼と重なり先程よりも胸の鳴る音が大きくなる。


