コンプレックスなふたり☆



「気持ちは嬉しいんだけど、もう時間が…」


時計のある方角を指させば、少女もそちらに目を見やり顔を小さく歪める。

しかしそれは一瞬で。


「心配いりません! 先生に事情を話せば…」

「それは駄目だ」


彼女がまた真剣な瞳で優希に言葉を発したが、今まで口を挟まなかった遥が、初めて間に入りそれを遮った。


「どうしてですか?」


不思議そうに、視線を彼女から遥に移す。

遥は呆れた顔をしながら、わかんねぇのか、とボソリと小さく呟くと口を開いた。


「お前、あの馬鹿共に絡まれてたんだろ?」

「……はい」


馬鹿共を強調した彼に少女は思わず苦笑し、一瞬の同情をあげたが別にそれを否定しようとはしない。

彼女は遥がそう言ったから頷いただけなのか、それとも本当に遥や優希と同じように馬鹿だと思っていたのか。


それは分からない。