「先輩!」
「ん?」
「怪我の手当てをさせて下さい!」
(……え?)
ぱちくりと目を瞬かせる。
「私のせいで優希先輩に怪我をさせてしまったんですから!」
是非是非!と彼女に迫る後輩ちゃん。
(あー…どうしたもんか)
彼女は何かしら理由をつけないときっとこの場から離れようとはしないだろう。
(うーん…、あっ!)
ひとり唸っていると、運よくチラッと視界に映った時計。
遠くて時計の針しかはっきりと見えないが、その長針は十を指そうとしていた。
「あ、あのさ」
「はい!」
ちょっぴり困惑したように笑んだまま、ポリポリと頭を掻く。


