残りのふたりが、一斉に遥に襲いかかる。
「…っ! 危なっ!」
彼に駆け寄ろうと一歩足を踏み出したその時、パンパンッ!と、高い音が耳に響く。
(……え)
心配はどうやら無用だったみたいだ。
遥はふたりの脇腹に、竹刀を一瞬で食い込ませ、足のスネ目がけて打った。
男ふたりは座り込み、叫びながら脇腹と打たれたスネを押さえる。
「……力は抜いたので、多分痣で済むと思います」
彼は構えを崩すと、ピシッとふたりに竹刀の先を向けた。
(……強い)
ごくり、喉を鳴らす。
優希は呆然としながらも、何処か嬉しさを感じていた。
「…早くここから、立ち去ってくれませんか?」
静かに遥はそう口にするが、何処かその口調からは威圧感が感じとれ、逆らってはいけないと脳の信号が点滅する。
彼らもそれが分かったのか顔を歪めると、覚えてろよ!とダサい台詞を吐いてこの場から消えていった。


