コンプレックスなふたり☆



(…そうだ。気のせいだ。だから変に期待をするな)


震えを相手に悟られないよう、足に力を入れて踏張る。

期待したい気持ちで山々だが、期待して殴られたときの絶望が大きい。


「…なんか恨みがあるのか、こいつに?」


もう彼は、遥のことを疑ってないみたいだ。

完全に心を許している。


「恨んではいませんよ、関わりがありませんから」


ただ、と言葉を区切る遥。


「……最近、色々あってむしゃくしゃしてまして、ストレスが溜まってるんですよ」

「…っ」


こちらを見ようとはせずに、何でもないことのように言う。


(…ほらみろ)


ギリと唇を噛むと、またじたばたと暴れる。


「おい、暴れんなよ!」

「抵抗しても無駄だぜ?」

暴れれば暴れるほど、腕を縛り付ける力が強くなっていった。