(また殴られる!)
次にくる痛みを予想して、強く目を瞑った。
暫くそのままで耐えていると、男の驚いたような声が耳に届く。
(……何?)
恐る恐る、ゆっくりと目を開いた。
そこには、先程優希を殴った体格のいい男と、もうひとり。
小柄な男がいた。
いや、小柄と言ってもその体格のいい男と並んでいるからそう見えるのかもしれない。
実際は優希と同じくらいだ。
(……コイツ、知ってる)
山下遥。
彼も有名人のひとり。
海先輩ほどではないが、そこそこ知られている。
彼は優希と同じ中学二年生だが、同じクラスになったことは一度もない。


