(……油断した)
ギリリと悔しそうに歯を噛み締める。
「ハッ、迂濶だったな」
先程から言われっぱなしだった彼らはこの抵抗出来ない感じがいいのだろう。
実に愉しそうな表情をしながら、体格のいい男が手をポキポキ鳴らしながら近づいてきた。
「何だ?後悔してんのか?」
無表情のまま彼を見る優希を目にし、またにやりと笑みを浮かべる。
「今なら許してやってもいいぜ?」
ピクリ、彼女はその言葉に反応した。
(……許す?)
何を一体許すというのか。
確かに優希は彼を殴った。
彼ら先輩に対して敬意を払おうともしなかったのも事実。


