♂遥side♂


教室まで早々と歩き、鞄を置いた遥は下駄箱に向かった。

そこまで辿ると、上履きを靴にのんびりとした動作で履き替える。

外に飛び出すと彼はジャリジャリ、と音を立てながら中庭を歩き始めた。

校庭の方からする生徒達の掛け声が、耳の中に小さな響きを帯びる。


(やっぱ、どこの部も部活中か)


天を見上げると、真っ青な海色をした空間が広がっている。

キラキラと輝く太陽が眩しくて、思わず目を細めた。


(…まさに昼寝日和だな)


くはぁと欠伸をする。

そのせいか、目に薄ら涙が溜まっていた。