(…だって、可愛かったら普通男子にモテるだろ)


優希は一度だって男子にそういう目で見られたことがない。

と、彼女は思っているらしい。


(……尊敬の眼差しなら受けるけどな)


男女関係なく。

それが嫌なわけではないし、寧ろ嬉しいのだが。

ただ、そういう対象で見られないのが哀しいというか虚しいというか。


(女子として、どうなんだろうか…)


女の子はよく話し掛けてくれるのだけど…と考えている彼女には海先輩の言葉は耳に届かなかった。


「……本当っ、呆れるくらい自覚ないんだから」


小さな先輩は、腰に手をあてて困ったように眉を下げる。


優希はこの男っぽい名前と性格のため、女子ばかりモテてしまうのだ。

彼女は性格を直そうと一度は試みたが、やはり格好いいと言われてしまい元に戻ってしまった。


これが、優希のコンプレックスである。



♀優希side♀