ハロウィンにちなんで出されたオヤツは、カボチャプリンとカボチャケーキ。そしてココアだった。


「多めに作ったから、ひなたちゃんも食べてね。」


厨房の人がお皿とコップを渡してくれた。


「ありがとうございます。」



甘い香りが部屋一面に広がっている。



そして、美味しい。

お店で出されるのよりもカボチャの香りと味が濃いように感じた。



そんな至福時間を、ここにいる老人たちは毎日満喫しているのかぁ…

なんか羨ましい。



そんなことを思っていた時、一人の老婆の行動が視界に飛び込んできた。



まるで自分の赤ちゃんのように、テディベアを片手に抱いてケーキをぬいぐるみの口元に運んでは、自分の口に入れている。


ココアやプリンもやったのだろう。


テディベアの口元は凄い色に変色している。


そんな彼女の姿を、周りのスタッフたちは、笑顔で見つめている。


まるで親子を見ているように…




あのテディベア、臭そう。


ふと、そんな思考がよぎる。