書斎のドアを勢い良く開けて、ビックリ


私が用意したタキシードを着て、髪を程よく崩した絶妙なセットを施したマスター…


イケメンってすごいな……


「長かったな」


「すいません…」


「まぁ、いいや。それより社交ダンスの練習ー。てことでホールに移動ー」


「…私も練習するんですか!?」


「当り前だろ!?法善寺家はパーティーに参加する時は一度は付き人と絶対的に踊らねぇといけねぇから」


「ふぇ…?」


「お前が来る前の別のパーティーは塩沢さんと1度は踊っている。だが、今の付き人はお前だ」


マスターと塩沢さんが社交ダンス…


塩沢さんにはこないだ挨拶させて頂いた

『あっはっはっは!!新しい付き人の子が可愛い子で良かったわぁ!付き人頑張ってねぇー!!あぁっはっはっは!』と爆笑しながら去って行ったふっくらしたおばさんだった


「合わないですね」


「うるせぇよ!」


「す、すいません…」


「てか着いた。それよりお前、社交ダンスの経験は?」


「まったくありません…」


出だしからいきなり足引っ張ってすいませーん……


「だろうな。まぁ、教えがいがあってそっちの方がいいかもな。だからそんな暗い顔すんな」


柔らかく、子猫を撫でるかのような優しい笑顔で俯いてる私の顔を覗き込むマスター…


その顔に少し顔が熱くなった気がした