ドックンドックンドックン!


心臓が、ありえないほど強く鼓動を刻む。

それで目眩がしそうだ。


ギュッときつく閉じていた瞼を、恐る恐る持ち上げる。

意を決して視線を上げた。


ラフなサンダル。
清潔感のあるデニム、チェックの半袖シャツ。

それから……。




「ありがとう。すごく嬉しい」

「……篤さん」



トクン……




篤さんは、口元をほころばせにっこりと微笑んだ。

胸が、ドキドキして苦しい。


これって……



「俺だって、もちろん志穂ちゃんの事好きだよ」

「!」



好き?

あ、篤さんが……あたしを、好き?


ウソ!






緊張して、まるで鉛みたいに重くなっていた心がパッと花が咲いたみたいに軽くなる。




思わず身を乗り出したあたしに、篤さんは同じ口調のまま言った。



「―――でも……」




笑顔を湛えたまま。
篤さんは、言ったんだ。