溺愛プリンス



「草介。明日また迎えに来るからね?篤おじさんと仲よくしててよ?」

「はーーーい」

「よし。いい子」


椎香さんは草介くんの髪をワシャワシャと撫でつけると、「よろしくね」って言ってお店を出て行ってしまった。



「……」

「……」



残されたのは、口の中いっぱいにおまんじゅうを詰め込んだ草介くんと、チケットを見つめたまま立ち尽くしてる篤さん。
それから、お店の隅っこでジッとしていたあたしと茜だ。


少しの沈黙がお店に落ちて、それを破ったのは、他でもない篤さんだった。






「ね、志穂ちゃん茜ちゃん。明日、空いてたりする?」



振り返りざまにそう言って、篤さんはヒラリとチケットをかざした。


あ、明日?
明日は大学もお休みだし……でも、茜と買い物に行く事になってて。


「えっと……」

「わたしは無理ですけど、志穂は空いてます!」

「え?」


ギョッとして茜を見ると、「ね、志穂」と小さくウインクして見せた。

うわ……気、遣わせちゃった……。
それがわかったから、なんだかすごく気恥ずかしくて、あたしは赤くなってるハズの顔を隠すように俯いた。


「ほんと?じゃあ、志穂ちゃん。明日一緒に遊園地付き合ってくれないかな?」

「あ、あたしでいいんでしょうか?」



チラリと視線を上げると、笑顔の篤さんが応えるよりも早く草介くんがあたしの目の前に立ちはだかった。


「ふーん。お前、しほっていうのかぁ。ま、いいぞ。オレがゆるしてやる!ジェットコースター乗せてやるからありがたく思えっ!」

「……あ、ありがとう……」



いやに偉そうな草介くんからの許しを得て、あたしは篤さんと初めてのデートをする事になったのだった。