溺愛プリンス



ジッと見つめていると、それに気付いたハルが顔を上げた。



「まあ……。たとえアルコールでも、ここなら気兼ねなく飲めるぞ」

「え?」


首を傾げたあたしを見て、ハルは口の端をクイッと持ち上げると、なんともイジワルに微笑んだ。



「志穂が酔い潰れても、泊まっていけるからな」



そう言って、ハルは顎で何かを指示した。




その先を追う。

そこには、まるでお城にありそうなキングサイズの天蓋付きベッドが一際存在感を放っていた。


思い返せば、ここはホテルの一室。
しかも、スイートルーム。


……。


「志穂? そんな怖い顔してどうした」

「…………か、……」

「か?」



あるのはもちろんベッドだし、目的は宿泊。

……宿泊……。