溺愛プリンス



優雅にワインを口に含むハル。

この景色に、溶け込んでるハルをしばらく眺めてからあたしはグラスを口に運んだ。



……と、そこで気付く。




「って! あたし未成年なんですけど」




あ、危なかった……!
思わず、この雰囲気に流されちゃうとこだった。


テーブルにグラスを置くあたしを、ハルは呆れたように眺めた。



「またそれか。いい加減学習したらどうだ?」

「はい?」

「よく見ろ。ただのジュースだ」

「……」



……ジュース?


「だいたい、5日なんて日数はすっ飛ばせばいいだろ」



「え」と固まってしまった。


5日?
……5日後は、6月20日。
そうだ、あたしのハタチの誕生日。

でも……なんであたしの誕生日をハルが知ってるんだろう。
自分でも、忘れてるような事なのに……。



「マジメなヤツだな。だから男が出来ないんだ」

「そ、それはハルには関係ないでしょ?」



ムカつくな。
一言多いのよ、ったく。


でも……だから?
だから、こうしてここに連れてきてくれたの?


誕生日のお祝いをしてくれるために……。