溺愛プリンス



俺は、志穂の手をグイッと引き寄せて、その肩を抱く。
一瞬ビクリとした志穂だけど、すぐに照れたように俺を見上げた。




「俺への声じゃない。 志穂、お前に向けられた”声”だ」

「え?」




キョトンとした志穂に、顔を寄せて耳元で囁いた。
うんと低く、甘く。そして、イジワルに。



「でもお前は、俺だけ見てろよ?」

「……」



そう言ってちゅ、と頬に口づければ、愛のキスをしたように見えた人々の歓喜の声が上がる。
折っていた腰を上げ、スッと背中をのばして前を向く。

そんな俺を、志穂はバラみたいに真っ赤になったまま、ワナワナと震えている。



普段ならここで叫ばれてもおかしくはない。
だが、一応今日は俺たちの結婚式。

本人も我慢してるらしい。


それがおかしくて、吹き出しそうになるのを抑えつつ、みんなに向かって極上の笑顔で手を振った。