溺愛プリンス




バ―――――――ン!!!!!



「!」



志穂の寝着に手をかけた瞬間だった。

部屋の扉が勢いよく開く音で、『ああ、またか』と思わずため息が零れた。



目の前には、顔面蒼白の志穂。
なんか前にも見たことある光景だな、なんて呑気に考える。



「ーーショーン。無粋なマネをするな。取り込み中だ」

「お言葉ですが……。もう時間がございません!」



めずらしくイラついた様子の声に、またひとつため息。
真っ青を通り越した志穂は、固まったまま俺を見上げている。

……にしても、ものすごい瞬きの数。



「…………」


そんな彼女からゆっくり視線を外し、そのまま背後を振り返れば、開け放たれた扉と、そこに立ちはだかるショーンの姿が見えた。

後ろには、モジモジと下を向くメイドたち。
その顔は真っ赤だ。


と、そんな彼らを蹴散らして、クロードがズカズカと部屋へ侵入してきた。



「さあ! 起きてくださいませ!」

「……クロード。少しは遠慮しろ」



満面の笑みの彼にそう言うと、クロードは笑顔のまま両手でシーツを引っ掴んだ。
そうして俺たちからシーツを無理矢理はがすと、大きな声でこう叫んだ。



「おふたりとも!結婚式が済んだあと、どうぞ存分に励みなされ!」


クロードのやつ……昔から変な張り切り癖があると言うか……。


あっというまに大勢に囲まれた志穂。
手元にあったクッションを抱えて絶叫したのは、言うまでもない。