溺愛プリンス




フヌケになっていた両腕にめいっぱいの力を込める。
間近に迫っていたハルの逞しい胸を押しやった。

せっかくのムードも台無し!
あたしのトキメキを返せ!

必死にハルの腕の中から逃げようともがく。
でもまったく敵わない。

ムッとして視線を上げると、その先でハルは可笑しそうにクツクツと喉を鳴らした。



「本当に、志穂はかわいいな」

「っ……な、」



なに言ってんの……。
無邪気に笑いながら、そんなこと言わないでよ……。


あたしの少ない力も、ハルを目の前にしたら無意味で。
心も体も、そのすべてが、簡単に奪われてしまう。悔しいほどに。


ギュッと、すがるように服を掴んだ。


まぶしいくらい青い空。
ハルの瞳の色によく似ていて、キレイで見ていられない。



時が止まればいいのに……。
このまま、このかわいい箱庭であたしとハルとふたりきり。


ずっと、ずっとこの時間が続けばいいのに。