キスされる!?
って、そう思ったのは一瞬で。
ハルは思い切りあたしの顎を掴むと、唇をむにゅっと押し出した。
わけがわからずにひたすら瞬きを繰りかえす。
そんなあたしをハルの鋭い視線が射抜いた。
ひ!
怒ってる……!
めっちゃ怒っていらっしゃる!
「……は、ハウ」
無言でむにゅむにゅされて、いたたまれなくて思わず名前を口にする。
タコのようになってしまった唇は、うまく発音してくれない。
「昨日といい今日といい。志穂は本当に俺の想像を超えてくるな。心臓がいくつあっても足りそうにない」
「……ふいまへん」
「…………。 それで?」
え?
一呼吸おいて、ハルはあたしを覗き込む。
やわらかな髪が風に揺れて、黒くふちどられた瞳がまるで誘うように細められた。
「奪われた俺は、このあとどうなるのかな?」
「…………」
息を呑む。
呼吸の仕方も。
瞬きも忘れて、あたしはただハルの瞳を見つめていた。



