溺愛プリンス


ベスはマルクの腕を乱暴に離すと、キッと睨んだ。



「ハルがどこにいるか教えて」

「ハルぅ?なんで俺が……」



はあ?って感じで目を細めると、マルクはドサッと座席のシートに身を投げ出した。
そんなマルクをジロリと睨むベス。

彼女の態度に頬をピクリと痙攣させたマルクは、深くため息をついた。



「……んな睨むなよ。 屋敷の奥の中庭にいるよ。たぶん、今ならふたりだけだと思うけど」

「奥かあ……。 よし忍び込もう!」

「はあ!?」



すっとんきょうな声を上げたマルクは、ギョッとしたように身を乗り出した。




「バッカじゃねぇの? もし見つかったらどうすんだよ」

「平気よ、だってマルクがいるもの」

「俺も行くのかよっ!……て、そこじゃなくて、お前わかってんの?この壁の花をハルのことへ連れてくってことは……」



…………、ふたりのやりとりを、ただ見守る事しかできなくて。
だけど。




「……志穂……」



両手に力を込める。
あたしは思い切り頭を下げたまま、ギュッと瞼を閉じた。