きっと……今の話、聞いてた。
このお付の人があたしに拳銃を突きつけるの、見てたはず。
なのに、王子はいつものように柔らかな笑顔を浮かべてる。
ゾクリとするほど、魅惑的なその微笑みにたまらず後退りをした。
「……」
真っ黒な前髪の奥の瞳が、スッと細められて。
王子はあたしに手を差し出した。
その仕草には品があって
思わず見とれてしまう程だった。
「それじゃ、姫。どうぞこちらへ」
「へ?」
ひ、姫!!!?
ギョッとしてるあたしなんかお構いなしで、王子はあたしの手をとった。
「あ、あ、あの……あたし、困ります」
慌てて手を引くと、今度は少し強引にあたしの腕をとってそのまま引き寄せられた。
うわッ……
なな、なに?
不意に近づいた唇。
息がかかりそうな距離にドギマギしていると、耳に唇を寄せた王子が甘く囁いた。



