溺愛プリンス


ハル!



このホールの中に、彼の黒髪は目立つ。
セットされた髪は色っぽく、艶めいていて。


顎を少しだけあげ、ベルト王と同じ瑠璃色の瞳は、まっすぐに前を見据えていた。

ピンと伸びた背筋。
キュッと結ばれた唇。
真っ白な軍服。

そこにいるのは、まぎれもなく王子様で……。


ついさっきまで、その手であたしを抱きしめ、キスをしていただなんて。
なんだか信じられないな……。


勝手に頬が火照り、慌ててハルから視線を逸らす。


そのハルから一歩下がった場所にベスの姿も見つけた。
彼女はハルとは違い、目を伏せてしまっている。



そんなふたりを見つめていると、急にベルト王の声が耳に飛び込んできた。



「12時の鐘がなるその時まで、どうぞお楽しみください」



やばっ、ちゃんとハルのお父さんのお話聞いておかなくちゃ。
ベルト王はそう言って、胸に手を添えて優雅にお辞儀をして見せた。

そしてまた沸き起こる拍手。


……あの人が、ハルを軟禁していた?
でも、なんでそんなことする必要あったのかな……。


ハルはちゃんと公務をこなしていたはず。
テレビでもその様子をやっていたし、本人だって仕事が忙しいって……。



「――――、それからもう一つ、今夜はお集まりいただいた皆様にご報告があります」




……報告?


少しだけ、ホールの中がざわめいた。
そんな気がした。