溺愛プリンス



「ハロルド様ー!」

「ハロルド様、どちらですかー?」



まるで、ふたりの時間を切り裂くように。
あたしとハルの間に、声が響いた。

伸ばされていた手がピクリと止まり、ハルはギュッと手を握りしめた。



「…………」



タイムオーバー。



ハルを探してる。
ここにいても、見つかるのは時間の問題。

そりゃそうだよね。
この舞踏会の主役なんでしょ?

もう……、行かなくちゃ。


ハルを助けたいって、そう思ってここへ来たのに。
あたし、何してるの……。




助けたいって思った。
あたしに出来る事があるならって。


でも……それは本当にハルが望んでることなの?


わからない……。
わからなくなっちゃった……。



「ごめんなさい……、あたし……行きます」



マスクをもう一度つけようと、目元に持っていったその手首がパッと掴まれた。



え……?


顔を上げようとしたその時、目の前に影が落ちる。
気が付くと、すぐそばにハルの気配。

そして…………。