溺愛プリンス



その時だった。



カツン カツン



廊下の奥から足音が聞こえ、すぐそばで立ち止まる気配に顔を上げた。


と同時に、あたしと彼の間に割って入る人影。
そのまま顔のすぐ横の壁に手をついて、あたしを覗き込むようにした。


瞬間、高級そうな香水の香りに包まれる。





「――ごめん。待ったせちゃったかな?」




そう言って、ふわりと微笑む。
その瞬間、彼のまわりに天使の羽が……。




…………。




「……な、あ……え……?!」

「彼女の次の相手は私です。 なにか、問題でも?」

「っ、い、いえ!……失礼しましたっ」



バタバタと足音が遠ざかっていく。
目の前の人物は、小さく溜息をつきながら折り曲げていた体を放した。




「……………」

「……………」




見つめ合っていたのは、ほんの一瞬なのかもしれない。

真っ黒な髪。
瑠璃色の瞳。
本物の王子様みたいな衣装。





やっと…………

やっと、会えた………。