フランス語……。
この言葉、何度も聞いた。
”私と踊ってくれませんか”だ。
しかも、壁の花……って言われてる。
あたしが、ずっとここにいたからだろうか。
これで声をかけられるのは、5回目だ。
あたしは同じように、笑顔で首を振る。
そして同じように、嫌な顔をされ鼻で笑われた。
まあでも、声かけてくるだけでそれ以上強引にされないからいっか。
はあ……。休憩、してこよう。
空のグラスを近くのテーブルに置いてあたしは広間を後にした。
廊下に出ても、人はたくさんいる。
ちょっとひとりになりたい。
バルコニー……どこかな……。
廊下を進んでいくと、だんだん人の姿が少なくなる。
あ、あそこから外に出られそう!
ホッとして溜息がこぼれる。
ドレスの裾を持ち上げて、一歩を踏み出した。
ううん、踏み出そうとした。
でもそれはかなわずに、誰かに肩をつかまれていた。
えっ……?
振り向くと、そこにいたのは……。



