溺愛プリンス



「? ええ。鍵は家主様にお借りして。事情を説明したらすぐに鍵を渡してくれたと申しておりましたよ」

「大家さん?……て、そもそも誰にそんなこと……」

「ご学友の方です。ああ、それから部屋への立会いの際は、志穂さまのお母様にもいていただきましたから、ご安心を」

「……」


ちょ、ちょっと、あの人たちなに考えてんのよぉ……。


含み笑いしたお母さんと茜の顔が容易に浮かぶ。



「そんなことはいいらか、ほら志穂!ハルからの贈り物なんでしょ?今日着ないでいつ着るっていうのよ」

「え……ちょ……」



そんなことって、あたし今すごくびっくりしてるんですけど……。
その時間もくれないんですね……。


戸惑ってるあたしなんかお構いなし。
ベスは楽しそうに笑ってドレスを手渡すと、着替えるように急かした。


これを着る機会がくるなんて……。
姿見の前で、あたしは小さく溜息をこぼした。