溺愛プリンス



部屋の壁には、本棚があって。
そこ中のひとつに、写真が飾ってあるのを見つけた。


近づいて、そっと覗き込む。



「これって……」



そこに映っていたのは、まだ小さな男の子。

覗き込んでいたあたしの隣に立つと、クロードさんは戸棚を開けた。
写真を取り出すと、それを手渡してくれる。



「これは、13歳のハロルド様でございます」



13歳のハル……。

大きな椅子の肘掛けに腰を預けて、まっすぐにこちらを見据えている。

それは、まるで威嚇するような……。
そんな厳しい目だった。

切れ長で鋭い目元。長いまつげの奥の瑠璃色の瞳。
真っ黒な髪が、それらをさらに印象的に見せていた。


たったひとりで映る写真の中の男の子は、すごく大人びていた。



「…………」



無邪気さなんか、どこにもない。
あたしの知ってるハルは、どこにもいない。


これが……子供の時の、ハル。
あたしの知らない、本当のハルだっていうの……?



胸が、ドキドキしてうるさい。


どうして……。
どうして、こんなに……悲しい顔してるの……ハル……。




写真を持つ手に、ギュッと力がこもる。