溺愛プリンス



「ここは、ハロルド様のお部屋です」

「え?」



ハロルド……?
ハルの?


そうだ。最初に来た時にここはハルが幼少期に住んでいたお屋敷だと教えてもらったんだ。


だから、ハルの部屋には間違いないんだけど……。


そんなことを考えながら、クルリと見渡す。

えんじ色の絨毯。
木彫で統一された家具。
高価そうな机、柔らかそうな椅子。
キラキラとした装飾を施した調度品。

それはどれも素敵で。

だけど、それだけだ。


「……」


ハルは、子供のころ、ここにいたんだよね?

なんか全然、子供らしくないというか……。
子供が楽しめそうなものがひとつも見当たらないというか……。



「お部屋……と言っても、主にお仕事部屋ですが」

「……お仕事」


なるほど。
だから、余計なものがないんだ。

わずか10歳で、王位継承権をお兄さんから託されてしまったハル。

ここで……この椅子で、ハルはいったい、毎日何を思って過ごしてたんだろう。



綺麗に磨き上げられた机を見てると、なんだか心ごとギュッと掴まれたみたいで、胸が苦しくなった。



「あ……」



……あれは。