溺愛プリンス


結局、見つかってしまった。

しかも、最悪の形で。

怒られる……?怒られるよね!



昼間のクロードさんの形相を思い浮かべて、ジワリと嫌な汗をかく。



「大丈夫です。ご、ごめんなさい。部屋の明かりが漏れてたものですから気になってしまって……。すぐに部屋に戻ります」



苦しい言い訳を並べながらの恐る恐る顔を上げる。
すると、目の前に手が差し伸べられた。


…………。

その手に自分のものを重ねながら、クロードさんはあたしをゆっくりと起き上がらせてくれた。

見上げた先のクロードさんは、あたしの予想していた顔とは全然違くて……。



眉を下げて笑っていた。







「お怪我はございませんか?」

「あ、はい!」




ニコリと微笑まれ、ハッとして姿勢と正す。
自分が部屋着なことに気づき、いたたまれない気持ちになる。


ベスが用意してくれたそれは、なんだか落ち着かない。

長いスカートをパパッと直しチラリと視線を上げる。



「あ、あの……ここ、クロードさんのお部屋ですか?」



仕事着のままのクロードさん。
おずおずと言ったあたしに、彼は銀縁のメガネの奥で柔らかく微笑んだ。


すでに70代後半だというクロードさんの笑顔には、すごく品がある。
アクアマリンの瞳が優しく瞬いて、パッと視線を向けた。


その先は、先ほどまでクロードさんが立っていた場所だった。