溺愛プリンス



ベスは、お屋敷の中なら好きに使ってくれて構わないと言ってくれた。
でも、この部屋はなにかを教えてはくれなかったのだ。






……誰かいるの?

気になって、ドキドキする胸を抑えてそっと中を覗き込む。




「…………」



そこにいたのは、鬼教官……じゃなくて、クロードさんだった。

入口に背を向けているクロードさんが何をしてるのか、ここからじゃわからない。



ここ、クロードさんのお部屋なのかな。
黙ってみてるなんて、よくないよね。

部屋に戻ろう。



そのまま去ろうと一歩後ずさりしたあたしは、あろうことかスカートの裾を踏んづけてそのままバランスを崩してしまった。



わっ



咄嗟に手を伸ばしたその先は……。



「きゃ………!」



開いていた扉。
開いているのだからそのままとどまってはくれなくて。

あたしは思い切り、クロードさんのいる部屋の中へ転がり込んでしまった。




「うー、いたた……」



顔、ぶった……。



「大丈夫ですか?」



―――あちゃー。