「それで、レイナルドが王位を継げなくなった代わりに、選ばれたのが―――」
「……ハル」
「そう」
ハルは……、家族について教えてくれることはなかった。
お母さんも亡くし、お兄さんまで……。
やりきれない思いで、キュッと唇を噛みしめた。
「でもね、あたしはハルには王位を継いでほしくないと思ってるの」
「え?」
顔を上げると、ベスはまっすぐにあたしを見つめていた。
強い意志が宿った瞳。
青みがかった、どこまでも深い色の瞳があたしを縛り付ける。
「兄が亡くなった10年前。 ある日突然、あたし達の目の前に現れたのがハルだった。
それまで兄妹は、あたしとレオだけだと思ってたのに……」
ベス……。
その瞳に悲しみの色が広がっていく。
大好きだったんだな……お兄さんのこと。



