溺愛プリンス



「そうよ」と頷いたベスをただ茫然と見つめることしか出来なくて……。



「あたし達ファミリーの事は?」



ハルの家族のこと?
本当のお母さんは亡くなっていて……彼女はお父さんの愛人だったって事しか。

あたしはフルフルと首を振って見せた。

ベスはソーサを手にするとティーカップを口元に運んだ。

その優雅な仕草に見惚れてしまう。



「ローズベルト家には、3人の兄弟がいたの」



”いた”?


ベスは紅茶を口に含み、視線を広い庭へと投げた。
やわらかな風がサワサワと頬を撫で、ベスの絹のような美しい髪をすくい上げる。



「あたし、ハロルド、それから……一番上にレイナルド。
この国では、早ければ20代で王位が引き継がれるの。本来なら、第一王子であるレイナルドに継承権が渡るはずだった。
けど……レイナルドが王位を継承できなくなった」


「……どうして、ですか?」



胸が、ドクンって鈍く鳴る。




「亡くなったの。レイナルドが、18の時だった。もう、10年前になるわ」


「……」





10年も前に……。

ベスは、あたしを見つめそっとその瞳を伏せた。