溺愛プリンス



「志穂は十分綺麗だけど、あの人たちを納得させるためには、少し慣れておく必要があるのよ。ね、協力してくれるわね?」

「え……」



な、なんのこと?

目の前の女の人は、さもそれがあたりまえのように言ってあたしを歩くように促す。


お屋敷の入り口に控えていた男の人が、玄関の扉を開けたのを見てようやく掴まれていたその手を引いた。



「ちょ、ちょっと待ってください。あたし、なんのことだか……ちゃんとわかるように説明してほしいんです! 一体なにがどうなって、あたしはここへ……」



そこまで一気に言うと、強く手を引いていた力が「え?」と言う声と共にピタリと止まった。



「志穂、あなた何も聞いてないの?」

「は、はい」



コクリと頷くと、キョトンと瞳を瞬かせた女の人は、すぐにあたしの背後を睨んだ。