溺愛プリンス



「あ、あなたは……」



太陽の日差しに、キラキラと輝くブロンドの髪。
それはまるで、絹糸のように艶めいていて。

雪のように白い肌。
澄んだ海のように、青みがかった深い緑色の瞳。
甘く熟れた果実のような唇。


その姿は、まるでお人形のように美しくて……。
そうだ、この人……、ハルと一緒にテレビに映ってた人だ。

その人がどうして……。


あたしは言葉を失っていた。




「こんにちは。ミス・志穂」

「ひゃ!…………ここ、こん……」



春の陽だまりのようにあたたかな笑みを零した彼女は、そう言ってなんの躊躇もなくあたしの身体に腕を回した。


思わず固まったあたし。

クスリと笑う気配がして、顔を覗き込まれた。


ドキン!





「よくおいでくださいました、志穂様」

「へ……」


呆然としていると、すぐそばで別の誰かに声をかけられた。

低くて丸みのあるの声色。
つられるように顔を上げると、銀髪の年配の男性が品よくお辞儀をした所だった。


気付けば、彼の他にも中年らしき男の人と、メイドの服を着た女の人が2人、屋敷の入り口で伏し目がちにお辞儀をしていた。


ハル?

辺りを見回してみても、その中にハルの姿はない。



「…………」



怖くなり、一歩後退りする。

すると、女の人がさらに強い力であたしの手をギュッと握りしめた。