溺愛プリンス



そんなあたしに、涼しい顔で彼は急き立てる。




「時間がないのです。急ぎ車へ」

「じ、時間!? 時間ってなんの?」




引きずられるようにして連れ出されるあたし。
必死に振り返ると、両手を後ろで組んだショーンさんが、また苛立たしげに眉間にシワを寄せた。



「それは追々説明します。それより若旦那」

「は、はい?」



いきなり話をふられた篤さんが、飛び上がるように返事をした。
ショーンさんはまたも何食わぬ顔で話を続ける。



「こちらにある菓子を全部買いたいのですが」

「へ?」



今までただ成り行きを見守っていた篤さんも、ぽかんと口を開けた。
そしていくつか言葉をつけたしたショーンさん。それを聞いた篤さんはニコリと笑顔をこぼした。


え、なんで笑ってるの?